ノイバラ(野茨)の栽培
栽培している薔薇の台木から野バラが芽を出してきました。
接ぎ木部分の台木となった部分から出た芽は台芽と呼び、台芽かきという作業が必要になります。
台芽かきとは、伸びてきた台芽を付け根から切り取るようにして取り除く手入れになります。
台芽は、接ぎ木した薔薇よりも強く成長してしまう為、放置してしまうと接ぎ木された薔薇品種の方が負けて、台木のノイバラの木になってしまいますので、台芽は台芽かきをして早々に取り除くようにします。
一般的な薔薇の台木は、ロサ・ムルティフローラという種類の野ばら台木が利用されているようです。
ロサ・ムルティフローラは、日本に自生する野ばらのトゲのない選抜種になり、国内のバラの苗はたいてい台木には棘無しのロサ・ムルティフローラに接ぎ木して生産されているようです。
ロサ・ムルティフローラは、トゲなし野ばらになりますので棘が無いのが特徴になります。
葉は浅い緑色で細長く、光沢感はありません。
また、野ばらは一季咲きのつる性であり、春のみ開花します。
花が咲いた場合は一重平咲きで房前で咲き、香りは中香で、小ぶりな小さい花を咲かせます。
今まで沢山の品種のバラを育ててきましたが、どうせならバラの原種であるノイバラの栽培も楽しんでみようと思い、薔薇の台木から伸びてきたノイバラを育ててみようと思います。
目次
ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)を挿し木で育てる
Rosa Multiflora
伸びてきた台芽をカットして、挿し穂を水挿しで育てました。
カットした茎の節からは、暫くすると発根して来ますので、ある程度の長さに根が育つまでは水挿しで挿し木を育てます。
根がある程度育ったら、土に挿し木していよいよ苗を育てます。
挿し木に使用した鉢は、3号の素焼きの鉢植えになります。
用土は、バラ専用の用土を使いました。
暫くはしっかり根付くまではこのまま栽培を継続して行きます。
また、3号の鉢は土が乾燥しやすいので直射日光にはあまり当てないようしします。
後は受け皿を使って水切れを防ぐことも大切です。
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ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)の植え付け
挿し木で育てた苗を、次は8号程度の素焼きの鉢に植え付けます。
挿し木して育てていた3号鉢のノイバラの鉢植えも、しっかり根付いて新苗と呼べる程度に大きく成長しましたので、早速8号の素焼きの鉢に植え付けて、株を更に大きくするように栽培を継続します。
8号の素焼きの鉢にはあらかじめ、鉢底石を適量入れて水はけを良くするようにします。
苗の植え付けで使用した土は、一般的なバラ専用の用土を使いました。
写真は、8号サイズのテラコッタになります。
以前、8号鉢で栽培していた別品種のバラを、より大きな鉢に植え直しましたので、空いた8号のテラコッタを使いました。
植え付けが終了したら、後は日当たりが良く風通しの良い場所で育てていきます。
株が十分大きく成れば、このノイバラを接ぎ木の台木でも使えると思いますので、それまではゆっくり育てていこうと思います。
また、成長具合に従って、枝がどんどん長く伸びてきますので、ある程度の大きさまで株が成長してきたら、支柱を立てて枝を支えるようにして育てていきます。
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ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)の花
ロサ・ムルティフローラの花は、一重平咲きで小さな白い花を咲かせます。
房咲きで咲きますので、白い小さな花がたくさん咲きます。
ノイバラは房咲きでたくさんの花を一気に咲かせますので、蕾の数も密集するようにしてたくさん付きます。
香りは中香で、一般的なバラと同じようなフルーティーな香りがします。
花もちはそれほど長くはなく一輪散りだすと、どんどんほかの花の花弁も落ちていく印象です。
ノイバラの花は結実すると赤い実が実ります。
ノイバラの赤い実は、ローズヒップともよばれ、ハーブティーとして利尿や便秘の治療に薬用されるようですが、台木から伸びたノイバラの場合、確かな品種名が解りませんので、ローズヒップの使用は自己責任でお願いします。
また、害虫の駆除や病気の治療に薬剤を使われている場合も、ローズヒップをハーブティーなどでは使用しないようにしましょう。
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ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)の追肥
ノイバラは、生育旺盛で病気などに強く、大変育てやすい品種ではありますが、
追肥を行うことによって、丈夫で健康的に育てることが大切です。
追肥の時期は、3月、6月、9月あたりが固形肥料を追肥として与えるには適した時期になります。
固形肥料は、一般的なバラの肥料と同じものを与えます。
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ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)の害虫
ノイバラは、日本原産のバラの原種になりますので病気や害虫に強いですが、
それでも害虫や病気の被害に遭うこともあります。
住友化学園芸のベニカXファインスプレーは、害虫の駆除と病気の治療に効果を発揮します。
アブラムシ、チョウ目の害虫、チュウレンジハバチの幼虫などの害虫に対して、絶大な駆除力があります。
これらの害虫は見つけ次第、スプレーを噴霧して駆除するようにしましょう。
また、ベニカXファインスプレーは、害虫予防の効果もありますので、あらかじめ株全体にスプレー剤を適量噴霧しておくことにより、害虫を寄せにくくする効果もあります。
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ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)の病気
ノイバラは、日本原産のバラの原種になりますので病気や害虫に強いですが、それでも害虫や病気の被害に遭うこともあります。
写真は病気が発生したノイバラの葉です。
バラの葉によく発生する典型的な黒星病ですね。
黒星病にかかった葉は、黒い染み状の斑点が発生し、やがて葉は黄色く変色しだしてやがては枯れて落葉します。
黒星病が発生すると、他の葉に伝染して広がってしまう恐れがありますので、
黒星病は早期に殺菌することが対策としては有効です。
住友化学園芸のマイローズ殺菌スプレーは、バラの病気治療に効果を発揮します。
黒星病、うどんこ病、べと病、灰色かび病など、一般的なバラの病気の治療ができます。
黒星病が発生した葉に、適量をスプレーして殺菌するようにします。
また、黒星病が伝染する可能性もありますので、念のため付近の葉にも薬剤をスプレーしておけば安心ですね。
また、マイローズ殺菌スプレーには病気が発生する前の予防効果もありますので、株全体に均等にスプレーをしておけば、黒星病などの病気を未然に防ぐことも出来ますので、予防効果も兼ねて普段の手入れ時にスプレーをしておくことも有効な病気予防の対策になります。
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ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)の冬越し
ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)は、日本原産のバラの原種になり、
日本の気候に適した植物になりますので、冬の寒さに強く耐寒性があります。
なので冬越しのために特別にマルチングをしたり、鉢を室内に入れるなどはしなくとも大丈夫です。
冬の間は休眠状態となり、株の成長はほぼストップします。
3月辺りになると、ふたたび芽吹き出して枝がどんどん伸びてきますので、冬季は春の訪れをゆっくり待ちましょう。
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ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)の仕立て
ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)は、つる性の植物になりますので、枝を誘引して栽培を楽しむことができます。
写真は支柱に誘引しているノイバラの鉢植えです。
株も充実してきて樹高も高くなり、枝の数も増えてきましたので、そろそろオベリスクなどに本格的に枝を誘引して行こうという段階です。
枝の誘引は、アーチやトレリス、壁面やパーゴラなどに枝を誘引します。
ノイバラの枝は、どんどん伸びますので、誘引をして仕立てを楽しむにはちょうど良い品種になります。
しかし、ノイバラは生育旺盛な植物になりますので、計画的に誘引を行って仕立てをする必要が有ります。
また、小さなオベリスクなどではあっという間に枝が張り巡ってしまいますので、仕立ては大きめなオベリスクやアーチ、トレリスなどがお勧めです。
オベリスクを使ってノイバラを仕立てたい場合は、枝をこまめに剪定して樹形を小さく留める様にして仕立てることも出来ます。
仕立てが完了しても、枝はどんどん伸びてきますので、定期的に誘引や剪定を繰り返し、仕立てを調整しながら楽しみましょう。
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ノイバラのオベリスク仕立て
株が充実してきたノイバラを、オベリスク仕立てにしてみました。
まずは、オベリスクに誘引する前の1月下旬の鉢植えの写真です。
普通のつるバラ品種と同様に、枝が長く伸びるまでは支柱で支えながら垂直に伸ばすように栽培していました。
苗の植え付けから2年目で、ようやくオベリスク仕立てが出来る程度まで株が充実して来ました。
ではオベリスク仕立てに挑戦です。
誘引作業の時期は1月下旬です。
まずは仮剪定を行って、主要なの太めの枝(幹)を残し、細い枝は落として枝をすっきりさせました。
葉は冬季なのである程度は自然に落葉しましたので、残った葉はとくに意識してむしることはしていません。
仮剪定を行って株をすっきりさせた後は、もとの8号の鉢植えではオベリスク仕立てにするには少し鉢が小さく感じられたので、プラスチックタイプのスクエアポット(250mm角)に植え替えました。
土を入れる前に、鉢底にはあらかじめ鉢底石を敷いて排水性を良くするようにしています。
バラは冬季にはあまり植え替えはしませんが、冬剪定とオベリスクに誘引する時期とが重なってしまったので、根にダメージを与えないように、根鉢はあまり崩さずに手早く植え替えました。
植え替え後は鉢にオベリスクをセットして、太い枝から順にオベリスクに巻いて行きます。
オベリスクは高さ120cm、直径21cm、のスモールオベリスクになります。
枝は時計回りの次は反時計回りと、交互に枝を誘引することが理想ですが、実践では理想通りに枝が株元より伸びていないケースが多いので、最終的に時計回りでも反時計回りでも、枝の巻き方はそれほど神経質にならずとも、見た目でオベリスクに均等に枝が巻かれていれば良いかと思います。
写真はノイバラをオベリスク仕立てにした実際の鉢植えです。
オベリスクの頂上付近までは枝を巻かずに少し余裕を持たせておくと、枝がさらに伸びた時に誘引しやすくなり、仕立ても綺麗に留めやすくなります。
あとは、春になると誘引した枝がさらに伸びてきますので、オベリスク仕立ての見た目が損なわれない範囲で、枝をソフトワイヤーで止め直したり、樹形を整える感じで所々剪定を行って管理していきます。
翌年の冬季にはオベリスクを一度外して、枝を新たに巻き直していくと、段々とオベリスク仕立てにボリューム感も出て、更に綺麗に整ってきますので、オベリスク仕立ては栽培年数を掛けながら楽しめるバラの仕立てになりすのでオススメです(笑)
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