ワイルドストロベリーの育て方

ワイルドストロベリーの育て方 | ベリーの栽培方法

ワイルドストロベリーの品種紹介

ワイルドストロベリーは、バラ科の多年草に属するベリー類の仲間になります。
和名ではエゾヘビイチゴや野イチゴとも呼ばれ、昔から親しまれているイチゴの品種のひとつになります。

栽培方法は比較的容易な植物で、半日陰でも十分に育ちますが、
日当たりの良い環境下の方が、実の収穫量は増えます。
また、多年草に属しますので、一度植え付けてしまえば株は冬越しが可能で、
春になると再び生育期に入ります。

園芸店では、ハーブコーナーなどで育苗ポットでハーブの苗と共に販売されていることも多いですが、ハーブの仲間と言うよりは、イチゴ類に分類されます。

ワイルドストロベリーは、「女峰」や「あまおう」と同じように、
苺の仲間になりますが、糖度はそれらのブランドイチゴには及びません。
それでも小さくて可愛らしいワイルドストロベリーの実は、そのまま食べるのにはもちろんスイーツなどの菓子のトッピングなどでも重宝され、特にヨーロッパ地方では、ラズベリーなどのベリー類と共に親しまれています。

下記の項目では具体的な栽培方法を記載しておりますので、
栽培の一助として、ご参照下さい。

 

目次

ワイルドストロベリーの植え付け

丸型プラスチックプランターにワイルドストロベリーを植え付ける

素焼きの小さい鉢に植え付けていたワイルドストロベリーが根詰まりを起こしていたので、大きめのプラスチックタイプのプランターに植え替えた写真です。
植え付けは秋に行いました。

ワイルドストロベリーの植え付け
ワイルドストロベリーの植え付け

新苗の植え付けから数年も経つと、親株からランナーが伸び出し子株が増えて、どんどん匍匐するように成長していきますので、定期的な植え替えは必須になります。

ワイルドストロベリーの植え付けには苗より一回りか二回りほど大きい鉢を用意して、鉢底石を適量敷いた後、園芸用土を使って植え付けていきます。
鉢底石は、赤玉小土よりも、水捌けが日にちが経っても安定しますので、オススメです。

植え付けに使用する用土は、一般的な野菜用の園芸用土で十分です。
特に、ワイルドストロベリー用の用土は有りませんが、
ベリー類の品種に適した専用の用土でなくとも心配は有りません。

植え付けは春か秋に行うのが最も良い時期なります。
夏場や冬場に植え付けや植え替えを行うのは避けるようにします。
夏季や冬季では、苗が疲弊しているのに加え、更に植え付ける行為によって苗が更に疲弊してしまい、最悪枯れてしまうケースも有ります。

ワイルドストロベリーの植え付け
ワイルドストロベリーの植え付け

秋に植え付けたワイルドストロベリーの苗が、翌年の春にはここまで大きく成長しました。
栽培環境は、半日陰なのですが、半日陰でも越冬して春先にはここまで十分に育ってくれました。
ここからは、花付きを良くするために日当たりの良い場所に移して栽培を続けます。

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ワイルドストロベリーの花

ワイルドストロベリーは、小さくて白い花を沢山付けます

開花数が結実して出来る実の量に繋がりますので花が沢山咲けば、結果として実の収穫量は増えると言う事です。

花を沢山咲かせるために欠かせない事は、日当たりの良さと適切な追肥、つまり肥料です。

ワイルドストロベリーの花
ワイルドストロベリーの花

ワイルドストロベリーの花は4月頃から開花しだしますので、
鉢植えの場合には、春の開花シーズンには日当たりの良い場所で栽培が出来るようにした方が無難です。
また、3月の初めくらいには予め追肥を行い、開花シーズン、そして収穫期に間に合うように追肥を施すようにしましょう。

ワイルドストロベリーの花は一般的なイチゴ品種と同じく小さくて白い花が特徴になります。
花弁の数は五枚で、中心部の黄色い部分がやがて真っ赤な実へと変わっていきます。

春先になると、ミツバチなどの昆虫達が花粉を集めに頻繁に飛来するようになりますので、結果、受粉に繋がり結実へと繋がっていきます。
やがて黄色い部分が緑色に変化をし始め、やがては真っ赤なイチゴの実を付けるようになります。

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ワイルドストロベリーの実

実の収穫方法

ワイルドストロベリーの実は、真っ赤な苺そのものを付けますが、
大きさは一般的な女峰などのイチゴほどは大きく成長はしません。
どんなに上手に育てたとして小粒の大きさまでしか育ちません。

ワイルドストロベリーの実
ワイルドストロベリーの実

真っ赤に完熟して、頃合いの大きさまで育った段階で収穫するようにします。
収穫の方法は、実をつまんで軽く引っ張るだけでぽろっと簡単に取れますので、
実を指で押し潰さないようにやさしく一粒ずつ収穫するようにします。
収穫したワイルドストロベリーの実は、洗ってそのまま食べる事も出来ますし、
小粒で可愛らしい大きさなので、見た目にも愛らしく、ケーキなどのお菓子の飾り付けとして利用される事も多いです。

また、ワイルドストロベリーの実は、鳥害の影響を受けやすいです。
人間が好んで食べる果実の実は、鳥たちにとっても恰好の餌になりますので、
熟した実を放置していると、いつの間にか鳥たちによって食べられしまう事も多いです。
味を占めた鳥たちは、定期的にやって来てはワイルドストロベリーの実を食べてしまいますので、鳥害に合う前に、熟した頃合いを見て収穫するようにします。
ワイルドストロベリーの実の美味しさに気付いた鳥たちは、その場所を忘れずに、
常に機会を伺っていますので、収穫期には鳥害にも注意を配るようにしましょう。

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ワイルドストロベリーの葉

ハーブティーに利用できるワイルドストロベリーの葉

ワイルドストロベリーの葉は、ベリー系の植物によく見られるような三枚の複葉からなり、葉の縁はギザギザしているのが特徴になります。

ワイルドストロベリーの葉
ワイルドストロベリーの葉

写真のように株が増えて来ると、葉が密集するように増えてきます。
このように葉が増えすぎると、株元が蒸れやすく成ったり日当たり条件が悪くなったりもしますので、子株を適度に間引いて引き抜いたり、葉を株元から必要分刈り取るなどの手入れを施すようにします。

ワイルドストロベリーは、成長してくると、ランナーを出して子株をどんどん増やして行く性質がありますので、プランターなどで栽培を行う場合は、
プランターの大きさに見合った株数で栽培を行うようにした方が、子株どうしで成長を阻害しあう事もなくなります。

また、ワイルドストベリーの葉は、ハーブティーに利用できます。
効能は、精神安定、強壮、美容などの作用があり、手軽に入れる事の出来るハーブティーとして人気があります。

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ワイルドストロベリー増やし方

伸びるランナーを利用して子株を増やす

ワイルドストロベリーは、ランナーと呼ばれる細い茎を親株から伸ばして子株を増やします。
ランナーを伸ばした親株は段々と枯れていき、新たに根付いた子株がやがては大きく成長して新たな親株となります。

ワイルドストロベリーのランナー
ワイルドストロベリーのランナー

写真のように、プランターから外へはみ出すようにして伸びる細い茎がまさにランナーと呼ばれるものです。
ランナーは伸びた先に根付いて子株を作り出します。

このように親株から伸びたランナーの茎は、新たな環境を求めて匍匐するようにして広がり、やがては地中に根を伸ばして定着します。
このようにして根付いた子株は、親株よりも生命力に溢れておりますので、やがて親株と呼べるほど成長すると、花付きも良く実も良く実るようになります。

このようにして親株から子株へ広がるように匍匐して育つ性質がありますので、
ワイルドストロベリーの栽培は、親株から子株へと育てる株の更新が定期的に必要になります。

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ワイルドストロベリーの株分け

親株から子株へと株を更新する

写真のように、新たに根付いた子株は暫くの間、大切に見守り、ある程度の大きさに育ったら新たにプランターなどへ移植して、植え付けを行うようにして栽培を続けるようにします。

子株の移植には、移植ごてのような小さなスコップを利用して、根付いた株を土ごと掘るようにして株をすくい上げます。
掘り上げた株は、そのまま植え付けを行う場所に植え付け、株を更新していきます。
子株を利用する株の更新は、一年ごとに行うのが理想です。

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ワイルドストロベリーの株の蒸れ防止

株元の葉と茎の混み具合を解消する

ワイルドストロベリーは、栽培年数が経過して来ると、ランナーで子株がたくさん増えるようになります。
鉢植えでの栽培の場合、土が見えなくなるほど鉢の空いたスペースに子株がたくさん増えてくることもあります。

子株が増えて、実の収穫量が増えることは望ましいですが、子株が混みあってくると株元が蒸れやすくなります。
株元が混みあって蒸れてしまい、新鮮な空気が流れにくくなってしまうと、葉が黄色く変色しだして枯れてしまったり、新しい若い葉に光が届きにくくなってしまい、若い葉が育ちにくい環境になってしまうことがあります。

このような状態では子株が増えたとしても、単純に栽培スペースが窮屈になってしまっているだけの状態となり、結果的には良い栽培環境だとは言えません。
そのままの状態で放置してしまうと、お互いの株同士で成長を阻害し合ってしまうことになります。

その為、子株が増えてきたら古い親株は間引くようにして、株の間隔を適度に保ちながら栽培を継続することが大切です。
古い親株から新しい子株へと株を更新して行く手入れは非常に大切です。

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ワイルドストロベリーの冬越し

越冬するワイルドストロベリーの株

ワイルドストロベリーは、多年草なので冬を越すことの出来る植物になります。
秋の終わりから段々と葉は黄色く変色しだしたり、枯れて行くようになります。

ワイルドストロベリーの冬越し
ワイルドストロベリーの冬越し

冬季では、葉が茂ったり、花が咲く事もなければ、当然実の収穫の時期も来年の春までは有りません。
写真のプランターでは冬季でも複数の葉が確認できますが、
子株の数が少ない場合は、葉の茂り具合は冬季ではめっきり少なくなります。

しかし、ワイルドストロベリーは多年草の植物ですので、冬を迎えたとしても、株が完全に枯れ果てる事は有りません。
例え地上部の葉が殆ど枯れてしまっても、地中の根は冬を越すためにエネルギーを蓄えていて、春の訪れと共に再び芽吹くのを待っている状態ですので、
慌てて枯れ果ててしまったと勘違いしないように気を付けましょう。

無事に越冬が終わると再び株元から若い新芽が芽吹き出しますので、
冬季の間もしっかり栽培を続けましょう。

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ワイルドストロベリーの肥料

固形肥料を追肥で与える

ワイルドストロベリーは、定期的に追肥を与えることが栽培には有効です。
追肥のサイクルとしては、3月、6月、9月を目安に固形タイプの肥料を与えていきます。
3月に追肥を与える理由は、気候が暖かくなるにつれてワイルドストロベリーの株は再び成長速度を速めますので、前もって3月中に追肥を与えておくことによって4月の段階で肥料成分が株に十分に届いておくようにするためです。

6月は、夏の暑い時期を乗り越える為に前もって株に体力を付けさせておくためです。
9月は、夏バテして疲弊した株に、栄養分を届けて体力を回復させるためと、冬越し前に株にエネルギーを蓄えさせておくためです。

以上のように、追肥のサイクルは年間を通して計画的に行うことが大切です。
適切な時期に追肥を与えることによって、ワイルドストロベリーの株は健康的に育ってくれますので、実の収穫量が増えることにも繋がります。

ワイルドストロベリーの害虫と病気の予防

ワイルドストロベリーの栽培では、アブラムシなどの害虫被害に遭う事があります。
また、株の風通しが悪かったり雨の多い梅雨の時期などでは、葉に病気が発生してしまうこともあります。
病害虫の予防には日当たりが良く風通しの良い環境で栽培をすることが有効です。

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ワイルドストロベリーの鳥害

実を鳥に食べられないように注意しよう

ワイルドストロベリーの実は、小さくて真っ赤なイチゴの実を付けます。
その様な容姿の為か、鳥に見つけられやすく、鳥の格好の餌であったりします。
「たくさん実が付いてきたから、近いうちに収穫しよう」と計画していたのに、いざ収穫当日になると、鳥が実を沢山つついて残骸だけが残り、ほとんどが食べつくされてしまった、というような被害報告も結構あります。

そして、鳥は結構賢くて、一度覚えたその味を、中々忘れません。
ごちそうにありつけたその場所は、鳥たちの格好の餌場になります。
そして来年も同じ時期に再び訪れては、実を食べに来るほどです。

そのような鳥害に合わない為にも、実が熟して収穫の頃合いを確認したら、なるべく早めに収穫を行ってしまうのが賢明です。
また、全ての実が一気に熟して収穫できるという事はあり得ませんので、まめに収穫のタイミングを確認しながら熟した実をひとつひとつ収穫していく事が重要です。

このようにして、熟した実は鳥害に合う前に収穫してしまえば、鳥たちも段々とワイルドストロベリーの実の存在を忘れていき、やがては餌場の巡回コースを外れて寄り付かなくなってきますので、実はなるべく放置せずに収穫するようにしましょう。

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