アンズを育てる

アンズを育てる | 果樹の栽培

アンズを育てる

Apricot Tree

アンズは、バラ科 サクラ属 に属する落葉樹になります。
日本では杏子、または杏とも書き、欧米ではアプリコットの呼び名で知られています。
原産地は、中国とされています。
花形が梅の花によく似ているのも杏の特徴のひとつです。

あんずの栽培は比較的に簡単で、趣味の園芸においても人気のある果樹品種のひとつとなります。
鉢植えでも上手に育てれば、それなりに実を収穫して楽しむことが出来ます。
あんずの果実は風味が良く、ジャムやドリンクなどに加工されることが多い印象です。

この項では、アンズを鉢植えで栽培した記録を掲載しております。
苗の植え付けから収穫まで、年間を通したアンズ栽培のポイントやコツなどを掲載しております。

 

目次

アンズの新苗の植え付け

アンズの苗を購入して早速植え付けました。
苗は大苗とまではいきませんが、結構大きく育っていましたので、大きめのプラスチックタイプのプランターに植え付けました。

アンズの新苗の植え付け
アンズの新苗の植え付け

植え付けに使用した用土は、一般的な花や野菜用の園芸用土を使っています。
この丸型のプラスチックタイプのプランターには、それなりの用土が必要でしたので、植え付けは一苦労でした(笑)用土は約30リットル程度入りました。

後は日当たりが良く風通しの良い場所に鉢植えを置いて栽培の始まりです。
早く実の収穫が楽しめるようにせっせと育てていきます。

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アンズの花

アンズの花は、地域によって変わりはしますが、だいだい3月に入ると咲き始めます。
花形や色は、梅の花とよく似ています。

アンズの花
アンズの花

写真のように杏子の花はたくさんの花を一気に咲かせます。
アンズの花はやがて結実すると実がなりますので、大切に栽培しましょう。

しかし、杏子の実は収穫できるサイズに育つ前に落ちてしまうことが多いです。
花数と果実の数とは比例しませんので、摘果をして果実の数を調節する必要があります。

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アンズの実の収穫

アンズの果実は、果実1個に対して葉が25枚程度、必要と言われています。
また、果実の間隔は、大体10cmあたりに1個程度が適しています。
そのため、アンズの実が多くついている場合は、小さなうちに摘果して実を取り除くようにします。

アンズの実の収穫
アンズの実の収穫

アンズの実は初めは濃い緑色をしていますが、熟して来ると段々とオレンジ色に変色していきます。
収穫期は、6月中旬~7月上旬あたりになります。
熟した果実は、ぽろっと落ちやすいので早々に収穫して、ジャムやドリンクとして楽しむことが出来ます。

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アンズの肥料

アンズの栽培に限らず、果樹栽培では適した時期に追肥を与えることが大事です。
苗の植え付け時に使用した一般的な園芸用土には、もともと肥料成分が含まれている商品が多いので、苗の植え付けから2カ月程度の期間は追肥の必要はありません。

アンズの追肥には、住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」という商品名の固形肥料を使っています。
「マイガーデンベジフル」は、株元にばらまくだけで肥料の有効成分を株に届けることが出来ますので、追肥の作業の負担を大いに軽減してくれますので、オススメの肥料になります。

鉢植えの場合では、基本的に年3回追肥を与えることが有効ですので、3月、6月、9月、あたりを目安に肥料を与えるようにします。
「マイガーデンベジフル」の肥料の有効成分は、約3カ月程度持続しますので、上記の月を目安に施肥をするようにします。

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アンズの枝の剪定

アンズの枝の剪定は、12月から2月の冬の間に行うようにします。
樹形は、スペースに制限のある鉢植えでの栽培では、変則主幹形が理想的な樹形になります。
変則主幹形とは、主幹を切り戻し、側枝は栽培可能な範囲内に収めるように樹形を整えて行く仕立てになります。

主幹を切り戻したアンズの枝
主幹を切り戻したアンズの枝

樹形の形はどのような仕立てであれ、株全体に日が当たりやすい形に整えることが理想です。
混みあった枝を切り落としたり、枝を切り詰めるようにして樹形を管理していきます。

栽培初心者で枝の剪定に自信が無い場合は、混み合う枝を軽く切り落とす程度に剪定しながら栽培経験を積み重ね、開花の具合や結実した実の数を確認しながら少しずつ剪定の基本やコツを覚えていきましょう。

間違った枝の剪定をすると、開花数や結実した実の数が、極端に少なくなってしまうこともありますので剪定は慎重に。

アンズのひこばえの処理

アンズの栽培を継続していると、株元より徒長枝が伸びてくることがあります。
このようにして伸びてきた枝を「ひこばえ」と呼びます。
ひこばえは生育力が旺盛な為、幹の成長を阻害してしまう恐れがありますので、はやめに切除して処理をする必要があります。

ひこばえを切った後の株元の状態
ひこばえを切った後の株元の状態

写真はひこばえを切った後の株元の状態です。
株元がすっきりして風通しも良くなったと思います。
株元の風通しが良くなると、病気の発生予防とともに害虫の発生を防ぐ効果もありますので、株元は常に風通しが良い状態を保つようにしましょう。

このようにして株元より伸びてしまったひこばえは、早めに切り取って幹の成長を促すようにしましょう。

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アンズの枝の冬剪定

それではアンズの木を実際に剪定してみます。
目指している樹形は「変則主幹形」です。
変則主幹形は、栽培スペースが限られている場合に有効な樹形となります。
変則主幹形の樹形は主幹を途中で切り戻し、側枝は栽培可能な範囲内に収めるように樹形を整えて行く剪定方法になります。
開心自然形より樹高は高くなりがちですが、樹高は管理のしやすい高さに収めるように剪定します。

対して開心自然形は、主枝を3本程度決めて、枝を斜め横方向に広がるように伸ばして行く剪定方法になります。
変則主幹形よりも樹高は低く抑えられますが、ある程度の栽培スペースを必要とします。

ではさっそくアンズの木の剪定に取り掛かります。
主幹は苗木の段階で、主幹を地際から40cm程度の長さで切り戻し、短く切り詰めています。
主幹が短い内に剪定して切り戻しておくことによって、横枝が育ちやすくなりますので、苗木の段階で切り詰めておくとよいです。
主幹の背丈を40cm程度に切り戻した頃からが、本格的な栽培の始まりだと言っても過言ではないでしょう。

さて、アンズの剪定時期は1月から2月の冬季が適していますので冬に行いました。

剪定前のアンズの鉢植え
剪定前のアンズの鉢植え

写真は剪定前のアンズの木です。
栽培6年目の冬の鉢植えになります。
理想的な変則主幹形に近付きつつあるかと思います。

まずは幹から横方向に勢いよく伸び出した胴吹き枝を、のこぎりで切り落としました。
胴吹き枝は主幹の成長を阻害しますので、ここまで育つ前に早めに切り落とすことが望ましいです。
次に所々に伸びているからみ枝や徒長枝、細く弱々しい枝をカットしました。

剪定後のアンズの鉢植え
剪定後のアンズの鉢植え

写真は剪定後のアンズの樹形です。
剪定後の樹高は約2メートル、主幹から伸びる側枝は4本になります。
余分な枝が無くなって、幾分すっきりした樹形になりました。
後はさらに理想的な変則主幹形になるように、剪定を毎年繰り返していきます。
樹形が理想的に整えば、杏子の実の収量アップにも近付きますので、地道に剪定を行うことが大事です。

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アンズの害虫駆除と病気の予防

アンズの栽培では害虫の食害にあったり、葉に病気が発生することがあります。
害虫の駆除や葉の病気の治療には、早期に対処することが肝心です。
特にアンズの葉は、コガネムシの食害に合うことが多いので、見つけ次第、取り除くようにします。

杏子の病害虫の予防には日当たりが良く風通しの良い環境で栽培を継続することが有効です。
葉や幹に害虫が付いて食害をしている場合は、こまめに取り除くようにしましょう。

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アンズのコンパニオンプランツ

ニンニクは果樹のコンパニオンプランツとして有効なようなので、アンズの鉢植えに植え付けてみました。

アンズのコンパニオンプランツ
アンズのコンパニオンプランツ

ニンニクの植え付け時期は秋が一般的ですので、秋に出回る種子用のにんにくを植え付けましょう。
ニンニクは、株間は10cmから15cm程度とされていますので、鉢植えに余裕がある場合は寄せ植えをしても面白そうですね。
※ニンニクは草丈が40cm程度に成長しますので、草丈の低い果樹はもう少し成長した段階でニンニクを植え付けると良いかと思います。

アンズの木は結構大きく育ってきましたので、ネキリムシやテッポウムシの被害にあわないようにと思います。
以前、テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)の食害でレモンの木が枯れてしまったことがありますので、テッポウムシの食害は要注意です。

ニンニクはコガネムシやネキリムシの忌避効果があると言われていますが、テッポウムシに対しても効果があるかは解りませんが、念のためニンニクを植えてみました。
現在、ニンニクのコンパニオンプランツとしての有効性を観察しながら栽培継続中です。

コンパニオンプランツに関しての注意点

コンパニオンプランツについてCompanion Planting

・コンパニオンプランツは、植物の相性や特徴を利用した栽培方法になりますが、必ず防虫効果や病気の予防効果が得られるとは限りません。
・一般的に相性が良いとされる寄せ植えの組み合わせが、必ずしも正しいとは言えない場合もありますのでご注意下さい。
・それぞれの植物の生育状況などにより、コンパニオンプランツとしての効果が十分に得られない場合もあります。
・コンパニオンプランツを目的とした混植は、あくまで植物栽培の補助的なものとして行うことが望ましいです。
・また、記載したコンパニオンプランツとしての組み合わせが、悪い効果、悪い結果を生み出してしまう可能性もありますので、混植は自己責任でお願いします。

これらの点に留意しながら、キッチンガーデン作りを楽しみしましょう。

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アンズの増やし方

アンズは基本的に接ぎ木で株を増やすことが出来ます。
挿し木はあまり一般的とは言えません。

接ぎ木では台木は、種から育てた杏子を使用することが一般的です。
アンズの接ぎ木を実際に試したことはありませんので、時期を見て接ぎ木に挑戦してみようと思います。

台木に使うアンズを育てるために、収穫した実から種を取り除いて早速種をまいて育てていこうと思います。
アンズの栽培で接ぎ木用に種からもアンズを育てるということは考えてはおりませんでしたので、すこし驚きもあって興味深い所です。

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アンズの冬越し

アンズの木は、鉢植えの栽培でもそのまま外で越冬することが出来ます。
株が大きく育つと重量が増えて、鉢植えでも移動が困難になりますので、大型の鉢植えでも、そのまま外で冬を越して栽培を継続することが出来ます。

ただし、鉢植えでの栽培の場合では、積雪によって鉢に雪が積もってしまった場合は、雪を取り除いてあげることが好ましいです。

冬越し中は、株は休眠状態となり葉は落葉して成長はほぼ止まります。
冬季においては水やりは、鉢植えの土が乾ききる前に水を与えるようにして、
分量は鉢底から少し流れ出る程度の水を与えるようにしましょう。

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アンズの実をジャムに加工する

収穫したあんずの実はジャムにすると美味しくいただけますよ(笑)
アプリコットジャムは、ジャムの種類の中でも人気のあるジャムのひとつです。

手作りしたアプリコットジャム
手作りしたアプリコットジャム

普通にトーストに塗って食べるもよし、タルトなどの焼き菓子に使うもよし、アンズの風味は色々な調理に重宝しますよ。

特にフランスの焼き菓子ではアプリコットジャムをよく使います。
アプリコットジャムは店頭でも手頃な価格で販売されてはおりますが、実際に栽培して収穫して手作りした自家製ジャムは、風味に断然違いが出ます。

フルーツタルトには仕上げにアプリコットジャムを塗ることが多いので、
焼き菓子作りに興味のある方は是非、手作りジャムをお試しください(笑)

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