月桂樹の品種紹介
月桂樹は、洋名では、「ベイ」「ローレル」「ローリエ」などとも呼ばれています。
これらの呼称は、植物学上では「ベイ」、園芸用語としては「月桂樹」、料理用語では「ローリエ、またはローレル」と言う具合に、呼び名がそれぞれ用いられているように思います。
このように呼び名がいろいろあると少し困ることもありますね。
さて、月桂樹は、クスノキ科の常緑低木に属し、地植えでは草丈が10メートル以上に育つこともあるようです。
または、鉢植えでの栽培も可能ですので、手入れや管理の面では鉢植えでの栽培が容易になります。
月桂樹を鉢植えで育てる場合は、鉢の大きさに見合った樹形に留めるように、枝や幹を剪定することによって、樹高の管理が出来ますので、限られた栽培スペースに合わせた栽培を継続することも出来ます。
ローリエの葉は乾燥させて、ビーフシチューやローストビーフなどの肉料理の臭みをとるために利用されることが多いです。
肉料理では定番のハーブになり、育て方もそれほど気を使わずに栽培できますので、オススメのハーブ品種になります。
目次
- 月桂樹の苗の植え付け
- 月桂樹の葉
- 月桂樹の葉の収穫
- 月桂樹の肥料
- 月桂樹に液体肥料を与える
- 月桂樹の冬越し
- 月桂樹の剪定
- 月桂樹の害虫駆除と病気の治療
- 月桂樹の増やし方
- 月桂樹の葉を料理で使う
- ハーブが決め手のブイヤベース
- ビーフシチューにローリエの葉を使う
月桂樹の植え付け
月桂樹の苗をプランターに植え付ける
月桂樹の新苗を購入してから何度か植え替えを行いつつ、かれこれ5年ほど育てている月桂樹の写真です。
草丈は約130センチほどになります。
ここまで大きく成長する前の、月桂樹の新苗の段階での植え付けは、育苗ポットで栽培していた小さな苗を園芸店にて購入しました。
苗の植え付けに利用した鉢は、苗の大きさに見合った小さめの素焼きの鉢を用意して、ある程度の大きさになるまでは素焼きの鉢植えで管理しました。
苗が十分に育ち、株が充実してきた段階で、写真の様な四角い深底タイプのプランターへ、植え替えました。
プランターには予め、適量の赤玉土を入れて置き、後は一般的な園芸用土を使って植え替えを行いました。
赤玉土は、水はけがよくなる効果がありますので、取り敢えずは入れておくことが栽培では無難に思えます。
さて、管理人の場合は、あまり株が大きく成長してしまうと管理が大変になってしまう為、定期的に剪定して、枝をつめて草丈を管理しながら栽培しております。
月桂樹の栽培方法は、特に難しい事もなく年々すくすくと育つ感じです。
病気や害虫にも強く、よほどの事でもない限りは突然枯れだしたりすることもなく、年々株はすくすくと大きくなる印象です。
但し、風通しの悪い場所で栽培をしていると、カイガラムシが発生してしまう事もありますので、カイガラムシには少し気を配った方が良いかもしれません。
枝に付いたカイガラムシは、歯ブラシなどでこすって剥がすようにして取り除くことが大切です。
また、カイガラムシが大量に発生してしまった場合は、専用の駆除剤を用いるなどをして、カイガラムシを根絶させるようにします。
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月桂樹の葉
月桂樹の葉は、典型的な常緑樹の葉の形をしており、年間を通して青々としているのが特徴になります。
葉はある程度の葉厚があり、直接、葉を食べることはなく食用には向きません。
しかし、芳香性に優れているので肉料理などの臭み消しとして葉を利用することがが多いです。
料理の香り付けとして料理に利用される葉は、乾燥させたドライの月桂樹の葉を用いることが多いです。
また、月桂樹の葉は月桂冠として利用されます。
月桂冠とは、月桂樹の枝と葉とを組み合すようにして編んで作られた冠の事を言います。
オリンピックなどの平和の祭典で、勝利者が頭に被っているのが月桂冠と呼ばれる月桂樹で作られた冠です。
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月桂樹の葉の収穫
月桂樹の葉を収穫する際は、株元付近の古い葉から枝先付近の若い葉の中間位に位置する葉を収穫するようにします。
収穫のやり方としては、枝ごと数枚の葉を一気に収穫する事も有れば、必要分の葉をちぎって収穫する事もあります。
写真のように、枝ごと数枚の葉を収穫する場合は、樹形を整える為の剪定も兼ねた収穫が出来ますので一石二鳥の方法になります。
この場合、枝先付近に付いている若い葉は、時間が経つとクルっと内側に丸まってしまう事が多い為、枝先付近の若い葉よりも、カットした枝付近に付いている葉の方が、料理などには向いています。
月桂樹は、常緑低木に属する為、背丈がどんどん大きくなる性質がありますので、定期的に剪定を行う必要が有ります。
我が家のシンボルツリーとして月桂樹を大きく育てる場合を除き、収穫が目的の栽培の場合は背丈は大きくし過ぎない方が手入れの管理がしやすくなります。
その為、葉を収穫する際には樹形を整える剪定も兼ねた収穫の方法が効率的になります。
また、枝ごと収穫した月桂樹の葉は、このまま逆さ吊りにして乾燥させる事が出来ます。
枝ごと収穫した月桂樹の葉は、日の当たらない風通しの良い場所で逆さ吊りにして吊るして乾燥させるようにし、十分に乾燥した葉は煮沸消毒をした瓶などに詰めて、食品保存用の乾燥剤と共に密閉して保存する事が可能になります。
写真のように煮沸消毒をした瓶詰を使って乾燥させたローリエの葉を保存しておけば、料理で必要な時に必要量を取り出して利用する事が出来ますので、収穫した生の葉は、乾燥させて保存するようにしましょう。
ローリエの葉は、乾燥しても芳香性はそれほど失われませんので、ドライでキープする事が有効です。
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月桂樹の肥料
固形肥料を月桂樹の株に与える
月桂樹の栽培では、年に2回程度、緩効性の固形肥料を追肥として与えています。
月桂樹に追肥を与える時期は、3月と9月頃が適した季節になります。
3月に追肥を行えば、気候が暖かくなるにつれて再び株の成長力が高まり、株が栄養分を必要な時に十分、吸収できるようになります。
そして追肥の有効成分が切れてくる9月に再び追肥を行います。
9月に追肥を行う理由は、夏バテ気味の株に栄養分を与えてあげる為と、冬越しの為の栄養分を株に蓄えさせるのが目的になります。
このように追肥は決められた時期に適切な分量を与えてあげる事が大切です。
追肥の量は、多ければ良いという訳でもなく、少なすぎても効果が得られませんので、追肥を行う際は、パッケージなどに記載されている分量を守って正しく行うようにしましょう。
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月桂樹に液体肥料を与える
液肥を株に与える
月桂樹の栽培では、追肥として固形肥料の他に、液体肥料を与えることも有効な栽培方法になります。
液肥を与える時期に特に決まりはありませんが、梅雨明け時や夏バテ時など、株が疲弊して樹勢が弱まっている時期に与えることが効率的です。
固形タイプの肥料は、効果に持続力がありますが速効性はありません。
対して液体タイプの肥料は、効果に持続力はありませんが、即効性があります。
このように、固形肥料はシーズンを通した肥料として与え、液体肥料は固形肥料の補助的な存在として活用するようにします。
それぞれ固形肥料と液体肥料の特性を考慮しながら、上手に肥料を使い分けていくことが、月桂樹の栽培では有効になりますので、株の健康状態を確認しながら肥料を適切な時期に与え、栽培を継続させましょう。
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月桂樹の冬越し
越冬する月桂樹の鉢植え
月桂樹は、常緑低木に属しますので、冬を越えて栽培を継続することが出来ます。
その為、真冬でも葉は常に緑色をしており、黄色や赤色に紅葉して枯れたり落葉してしまう事は有りません。
また、越冬の為に、藁などで冬越しの為に特別にマルチングなどを施す必要もありません。(特別な寒冷地に限っては、その限りではありません)
その様なこともあり、我が家の月桂樹は、普通に毎年冬を越えてくれます。
また、冬季では少しでも葉に光合成を促す為に、葉の収穫は行わないようにします。
冬季の水の与え方は、鉢の土の表面が乾ききる前に与えるようにします。
水を与える量は、プランターの底から少し水が流れて来る程度の分量で大丈夫です。
冬季に限っては、夏季のように毎日大量の水を与える必要はありません。
また、降雪時などは、積もった雪をそのまま放置してしまうと、株が弱ってしまう原因にもなりますので、鉢の上に降り積もってしまった雪は株元より取り除いてあげるようにしましょう。
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月桂樹の剪定
冬剪定の方法
月桂樹は、鉢で育てる場合でも、樹形が乱れてきたら剪定を行うようにします。
剪定は、樹形を整えることを前提として、背丈をどの程度の高さまで育てるかを考慮しつつ枝を詰めていきます。
写真は、剪定前の月桂樹の鉢の様子です。
季節は11月後半で、冬剪定になります。
剪定前の株の様子は、株元まで葉がたくさん茂っていて、株元付近の風通しが悪いように思えます。
風通しが悪いとカイガラムシが湧きやすくなりますので注意が必要です。
また、写真からはみ出てしまいましたが、背丈も3メートルほどまでに成長してしまい、少し株が大きくなり過ぎましたので、思い切って枝を強めに詰めてみようと思います。
写真は、さっそく剪定した月桂樹の鉢になります。
まずは、株元に新鮮な空気が流れやすくするように株元の枝と葉はある程度、落としました。
次に一メートルほどの高さまで枝を詰めて、樹形も少し揃えました。
という訳で、余計な枝を落としてかなりさっぱりしました(笑)
これくらい強めに冬剪定を行えば、しばらくは手入れの必要は無いと思います。
後は、冬を越えて春になれば、また新芽がたくさん吹いて来ますので、株が若返ると思います。
月桂樹の剪定方法のポイントとしましては、11月を目安に剪定を行い、樹形を整えつつ希望の背丈になるように枝を詰めていきます。
また、株元付近の枝や葉は、株元の風通を悪くしますので、なるべく切り落とすようにしましょう。
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月桂樹の害虫駆除と病気の治療
ルビーロウカイガラムシの対策と駆除
月桂樹の栽培ではルビーロウカイガラムシという種類のカイガラムシの被害に遭うことがあります。
ルビーロウカイガラムシは、月桂樹の枝に寄生して養分を吸汁します。
数匹ならともかく大量発生してしますと、月桂樹の生育に大きな被害が出てしまいます。
また、ルビーロウカイガラムシの排泄物の影響により、すす病が発生し、葉が黒く変色して、やがては枯れて落葉してしまうこともあります。
枝に寄生するルビーロウカイガラムシは、見つけ次第、歯ブラシなどで剥がし取るようにして駆除します。
それでも余りにも大量に発生してしまい、全てを歯ブラシで落とすことが困難な場合は、ルビーロウカイガラムシが付いている枝を思い切って剪定して、枝ごとルビーロウカイガラムシを一気に除外する方法も有効です。
ルビーロウカイガラムシは、月桂樹の栽培環境の日当たりが悪かったり風通しが悪かったりすると、発生しやすくなります。
また、枝や葉が混みあってくると、たとえ栽培環境が良くとも発生することがあります。
ルビーロウカイガラムシを発生させないように、食用として月桂樹の栽培を継続するには、日当たりが良く風通しの良い場所で栽培をして、枝や葉が混み合わないように適度な剪定を心掛けるようにすることが有効です。
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月桂樹の増やし方
月桂樹の挿し木
月桂樹は挿し木で株を増やすことが出来ます。
挿し木の方法は、若くて健康的な枝を見つけて適当な位置で剪定ばさみでカットし、カットした枝を挿し穂として利用します。
剪定ばさみで切り落とした枝の切り口は、鋭利なカッターなどを使って綺麗に切り直し、10cm程度の長さに整えます。
長さを整えた挿し穂は、水挿しに挿して暫くは水挿しで栽培をします。
水挿しにて栽培後、日数が経過して来ると切り口付近より発根することがあります。
挿し穂より根が出てくるタイミングは、気温など時期により変わります。
根がある程度伸びてくるまでは、このまま水挿しで栽培を継続します。
挿し穂より根がある程度伸びて育ってきた段階で、または水挿しで挿し穂を栽培後、発根はしていないが、挿し穂の新芽が伸びだすなど、挿し穂の成長がみられた時点で、3号程度の素焼きの鉢に挿し木して植え付けます。
用土は一般的な園芸用土でも大丈夫です。
挿し木が成功すると、幹が少しづつ伸びてきますので、挿し穂がしっかりと根付いて挿し穂が大きく成長してきたら、さらに一回り大きな鉢に植え付けて、株を大きく成長させていきましょう。
月桂樹の葉を料理で使う
ローストビーフにローリエの葉を使う
さて、せっかく栽培している月桂樹の葉を、料理に使わない手はありません。
今回は、あらかじめ収穫して乾燥させたローリエの葉を、ローストビーフの調理で使いました。
ローリエの葉は、肉の臭み消しはもちろん風味も料理に加えることが出来ます。
写真は、牛のかたまり肉を焼いている段階で、乾燥させたドライのローリエの葉をフライパンに入れて、肉の臭みを消すとともに、ローリエの風味を加えているところです。
このようにして、ローリエの葉はローストビーフの調理でとても重宝します。
また、スーパーなどでお肉の塊と共にローリエの葉がパッケージされている物も有りますね。
ご自宅でローリエの葉を用意するのが難しい場合はこのようにパッケージされたローリエの葉を使うか、スパイスコーナーなどで販売されているローリエの葉を購入して料理に使う事が出来ます。
さて、盛り付けをしたローストビーフです。
今回はローズマリーの葉も調理に使いました。
ローズマリーとローリエの香草が、ローストビーフの味を引き立ててくれた一品に仕上がりました。
調理の際に、オリーブオイルやワインや肉汁などの余った汁をベースにして、たれも作りました。
このように香草を使った料理は、肉料理でも魚料理でも種類も多く、いろんなアレンジもありますので、奥が深くて楽しい物です。
料理の腕も上がること間違いなしです(笑)
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ハーブが決め手のブイヤベース
ブイヤベースでは、多くの香草が使われます。
フランスを代表する料理のひとつにブイヤベースがあります。
世界の三大スープのひとつとしても知られています。
ブイヤベースとは、主に魚介を香草と共に煮込んだフランスの港町、マルセイユの郷土料理になります。
フランスに限らずヨーロッパでは、ハーブを用いた香草料理が多く、肉料理から魚料理まで、ハーブの特性を活かした料理が有名で、ブイヤベースもそのひとつになります。
写真のブイヤベースは、筆者オリジナルのブイヤベースになります(笑)
具材は、鯛、シュリンプ、イカ、ムール貝、アサリ、ジャガイモ、ニンジン、オニオン、ホールトマト、ガーリック・・・
それはもうたくさんの魚介とお野菜が入ったブイヤベースになります。
そしてハーブは、ブーケガルニを主に使います。
ブーケガルニとは、数種類のハーブをあらかじめまとめて束ねた物になり、西洋風の煮込み料理には欠かせない香草になります。
最近では、煮込み料理でよく使われるハーブがピックアップされてパッケージされた市販品もあります。
写真は、市販されているブーケガルニのパッケージと、スープの色付けで使うサフラン、自前で栽培しているローリエ、タイムの写真になります。
ブーケガルニにはあらかじめ煮込み料理でよく使われるハーブが数種類、選択されてパッケージされていますが、今回のブーケガルニにはローリエとタイムが入っていなかったので、自宅で栽培しているローリエとタイムを使いました。
また、サフランはブイヤベースの色付けに使いますので、こちらも別途、購入して用意しました。
サフランは、私の記憶では一番高価な部類のハーブになりますので、大切に大切に使いました(笑)
今回作ったブイヤベースのレシピは、調理の工程も時間もとても長い物になってしまいますので割愛します。
作り方は特別なこともなく一般的なブイヤベース作りのレシピと同じです。
ブイヤベースは、用意する具材が多ければ調理時間も結構かかります。
それでもレシピは、専門的なこともなくそれほど複雑なものではありません。
このように、ブイヤベースには沢山の魚介と野菜と香草が使われますので、材料をそろえるのにも一苦労ですが、出来上がった黄金の濃厚スープは絶品です。
ブイヤベースは、ハーブを使った西洋風煮込み料理を代表するスープになりますので、香草を使った料理に興味のある方は是非、トライしてみる事をおすすめします。
あれこれ時間を費やして出来上がったスープは、風味豊かで普通のコンソメスープとは比べ物にならない程にその味は格別なものになります。
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ビーフシチューにローリエの葉を使う
肉の臭み消しと風味を加えるローレルの葉
本格的なビーフシチュー作りには、ブーケガルニなどの香草や、クローブなどのスパイスを使うことが多いです。
特にローレルの葉(ローリエ)は、牛肉の煮込み料理で使うことが多い印象です。
ローリエの葉を入れると、牛肉の臭み消しになると同時に、シチューなどの煮込み料理の風味が良くなります。
ローリエの葉は、ローズマリーやタイムなどのように、香りがそれほど強くはありませんが、料理に入れると入れないとでは、風味が大きく変わりますので、
ビーフシチューやチリコンカンなどの煮込み料理には、ローリエの葉を使うことをオススメします。
月桂樹の葉は前もって収穫しておいて、乾燥させて保存しておくと、料理に使いたい時にすぐに使えますので、乾燥させて保存しておくと便利ですよ。
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