タイムの育て方

タイムの育て方 | ハーブの栽培方法

タイムの品種紹介

タイムは、シソ科 イブキジャコウソウ属 に属するハーブの仲間になります。
数あるハーブの種類のひとつとされていますが、タイムは幹や枝が木質化することで知られており、小低木に属する木に分類されます。
また、タイムは多年生植物(多年草)になりますので、株の更新を適切に行えば長い年月、栽培を継続することができます。

料理で使われるタイムの品種は「コモンタイム」が一般的になります。
コモンタイムは、料理の香り付けからハーブティーまで、食用として幅広く利用されています。
この項では「コモンタイム」の新苗の植え付けから、栽培の記録を細かく掲載しておりますので、コモンタイムの栽培の一助として、タイムの育て方をご参照下さい。

 

目次

タイムの苗の植え付け

コモンタイムを素焼きの鉢に植え付ける

ガーデンセンターにて購入したコモンタイムを、素焼きの鉢に植え付けた写真です。
タイムの苗は、園芸コーナーなどでは春から出回り始めます。

コモンタイムの苗の植え付け
コモンタイムの苗の植え付け

コモンタイムの苗の植え付けに用意した鉢のサイズは、6号の素焼きの鉢になります。
土は一般的な野菜や花用の用土を使っています。
鉢底にはあらかじめ適量の赤玉土を入れてあります。

苗の植え付けに最適な時期は春になりますので、コモンタイムの栽培を始めるには春に苗を植え付けることが望ましいですが、夏や秋でも苗を植え付けることは可能です。
あくまで、苗の植え付けは春が気候が穏やかなので、適しているということです。
コモンタイムの苗を無事に植え付け終わったら、後は風通しが良く日当たりの良い場所で栽培をスタートさせます。

タイムは湿気に弱い性質がありますので、なるべく風通しの良い場所で栽培することを心掛けましょう。
また、梅雨の時期から夏季に至るまでの間は、特に湿度が高い日が続きますので、株元が蒸れないように定期的に株の様子を観察しながら、水の与え過ぎにも気を配るようにします。

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長雨を避けて鉢植えを管理する

コモンタイムは湿度が苦手

タイムは地中海沿岸地域が原産地になりますので、水はけが良く日当たりの良い場所が生育に適しています。
そのため、日本特有のジメジメとした湿気の多い季節は苦手な植物になります。

とくに梅雨の時期の雨や、長雨が続く日には注意が必要です。
株が長い時間、雨に降られると根腐れやカビの発生などの健康被害が発生してしまったり、成長に支障が出てしまうこともあります。
鉢植えで栽培している場合は、軒下などの雨が当たらない場所に鉢を一時的に移動して雨を避けてあげることが大切です。

梅雨の時期や雨の降る期間を天気予報などで確認して、雨が続くようでしたら鉢植えを移動して、株が雨に直接当たらないように鉢植えを管理し、株の健康状態を守るような栽培を心掛けましょう。

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タイムの葉

コモンタイムの葉の特徴

コモンタイムの葉は、非常に小さいのが特徴になります。

コモンタイムの葉
コモンタイムの葉

写真のタイムの葉は、デジタル一眼レフカメラにマクロレンズを付けて撮影しました。
コモンタイムは、枝も細く、葉もとても小さいので、撮影にはマクロレンズがもっとも適しています。

タイムの葉には、チモールと言う成分が含まれており、抗酸化作用と抗菌力が備わっております。
そのため、古代エジプトではミイラの保存にタイムが使われたり、中世ヨーロッパではうがい薬としても使われていたそうです。
現代では、コモンタイムの葉は料理の香り付けからハーブティーまで、幅広く使われています。

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タイムの花

コモンタイムの小さき花

コモンタイムはとても小さな花を咲かせます。

コモンタイムの花
コモンタイムの花

写真のように、コモンタイムの花はとても小さいのが特徴になります。
時期によってはほぼ真白く咲くこともありますが、花の色は薄いピンク色で咲くことが多いです。
開花の時期は、6月辺りが最も開花するシーズンになります。

葉も小さければ花もとても小さくて撮影が少し難しいですね(笑)
今度は時間を見つけてじっくりコモンタイムの花の撮影に挑んでみようと考えております。

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タイムの葉の収穫

タイムの葉は枝ごと収穫する

コモンタイムは、葉を収穫して料理などに使うことが出来ます。

コモンタイムの葉の収穫
コモンタイムの葉の収穫

写真は収穫したコモンタイムの葉になります。
葉の収穫は、写真のように枝ごと収穫します。
葉を一枚一枚摘むようにして収穫することはありません。

収穫した葉は流水で汚れを洗い流し、枝ごと料理やハーブティーなどに利用します。

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タイムの葉を乾燥させる

コモンタイムの葉をドライで保存する

収穫したコモンタイムの葉は、乾燥させて保存することが出来ます。

コモンタイムの葉を乾燥させる
コモンタイムの葉を乾燥させる

写真は、収穫したコモンタイムの葉を乾燥させたドライのコモンタイムの葉になります。
乾燥方法は、枝ごと葉を収穫したコモンタイムを流水で洗い、付着した土や埃等を綺麗に落とします。
次に水気をよく切って、新聞紙などの上に広げ、風通しが良く日の当たらない場所で、パリパリに乾燥するまで保管します。

十分に乾燥したコモンタイムの葉は、枝から優しくそぎ落とし、葉のみを保存します。枝から外したタイムの葉は、煮沸消毒したジャム瓶等に食品保存用の乾燥剤を入れて保存するようにします。

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タイムの剪定

コモンタイムの樹形を整える

コモンタイムは株が大きくなるにつれて、枝が好き放題に伸び始めます。

コモンタイムの枝の剪定前
コモンタイムの枝の剪定前

写真は3号の素焼きの鉢で栽培している様子ですが、枝が鉢からはみ出て伸び放題になっています。
このままの状態で栽培を続けることは望ましいとは言えません。
よって、枝を剪定してコモンタイムの樹形を整えてみようと思います。

枝を剪定したコモンタイムの鉢植え
枝を剪定したコモンタイムの鉢植え

早速、余計な枝を落とした株の様子です。
剪定をすることによってコモンタイムの樹形は整い、株全体に均等に日光が当たるようになりますので、株の成長を促せるようになります。

また、株元にも陽射しが届くようになり、株元付近から新たに健康的な新芽が伸びやすくなりますので、樹形が整いやすくなります。
このように樹形から大きくはみ出すようにして伸びた枝は、剪定して落とすようにして、樹形を管理しながら手入れをしていきましょう。

大きく育ったコモンタイムの鉢植えの剪定

写真は8号鉢で栽培しているコモンタイムの鉢植えです。

コモンタイムの鉢植え 剪定前
コモンタイムの鉢植え 剪定前

栽培年数も数年経過して株も充実している為、葉が伸びる勢いがさらに増しています。
このまま鉢植えを放置してしまうと、さらに葉が伸び放題になって樹形が乱れてしまいます。
また、株元から新しい若い枝が生えにくくなってしまいますので、株元もすっきりさせる必要があります。

コモンタイムの鉢植え 剪定後
コモンタイムの鉢植え 剪定後

写真は剪定をしたタイムの鉢植えです。
まずは鉢から大きくはみ出した枝を切り詰めました。
つぎに株元の茎を何本か刈り取って株元の空気の流れを良くし、株元の蒸れ防止を改善しました。
そして株元にまで日が当たりやすくなりましたので、株元より若い新しい枝が伸びやすくなります。

このようにしてタイムの鉢植えの樹形を整えながら剪定をして、株が健康的に育つように手助けをしてあげることが大切です。
また、刈り取った茎や葉は料理に使うことも出来ますので、樹形を上手にコントロールしながら栽培を継続していきましょう。

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タイムの冬越し

越冬するコモンタイムのプランター

コモンタイムは、多年生植物になりますので、冬を越して栽培を継続することが出来ます。
写真は、プラスチックの横長プランターで栽培しているコモンタイムになります。

冬越し中のコモンタイムの株
冬越し中のコモンタイムの株

季節はまさに冬の只中で、地上部分が所々枯れている様子が解ります。

このように、コモンタイムは越冬中は、ほぼ休眠状態となり、枝を伸ばすことや葉を茂らせることはほぼ無くなります。
それでも地中では白い根が健在ですので、株が枯れてしまったと勘違いして栽培を終わらしてしまわぬよう注意が必要です。

やがて気候や緩やかになる春の訪れとともに、再び成長のスイッチが入り、枝が伸びて葉が茂りだしますので、冬季は気長に春を待ちましょう。
冬季の水やりは、土が乾ききる前に鉢底から少し流れ出る程度の水を与えるだけで十分です。
夏季のように、ほぼ毎日欠かさず水を与えるのとは違い、冬季に限っては土の乾き具合で水を与えるか否かを判断するようにし、土に湿り気があり、それほど乾いていない日は、水を与える必要はありません。

冬越し後のコモンタイムの株
冬越し後のコモンタイムの株

写真は無事に冬を越して再び葉が茂る株の様子です。
季節は5月の初めになります。
このように、越冬をした株は、気温が上がるにつれて再び枝を伸ばし始め、健康的な葉をたくさん茂らせるようになります。

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タイムの固形肥料

コモンタイムに追肥を与える

コモンタイムには定期的に追肥を与えて成長を促すようにします。
追肥には、緩効性の固形タイプの肥料を与えるようにします。

追肥を与える時期は、3月、6月、9月が目安になります。
パッケージに記載されている適した肥料の分量を参考にして、それぞれの時期に、与えるようにします。

また、苗の植え付けの際に使用する一般的な園芸用土には、あらかじめ肥料成分が含まれている物が多く、おおよそ2カ月程度、肥料成分が持続しますので、苗の植え付けの段階は追肥は必要ありません。

タイムに固形肥料を与える
タイムに固形肥料を与える

写真は、6月にタイムの鉢植えに緩効性の固形肥料を与えている写真になります。
固形肥料の追肥は年に三回、3月、6月、9月を目安にしっかり与えるようにすれば、コモンタイムはすくすくと株が大きく育ち、葉の収穫量を増やすことが出来ますので、追肥は計画的に行うようにします。

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タイムに液肥を与える

液体肥料をハーブの鉢植えに与える

タイムの鉢植えでの栽培では固形肥料とは別に、液体肥料を補助的に与えることも有効な栽培方法のひとつとなります。

住友化学園芸のベジフル液肥は、タイムなどのハーブ栽培に適した液体肥料になります。
液肥の特徴は、固形肥料の様な持続性はありませんが、速効性に優れていますので、短期間で早く株に栄養分を届けることが出来ます。

液肥を与える時期は、長雨が続く梅雨時や、暑い日が続く猛暑による夏バテの時期に、株が疲弊して体力が落ち、樹勢が弱まってしまっている頃が効果的です。
年間を通したメインの肥料はあくまで固形肥料を扱い、補助的に液体肥料を使って株の健康維持に努めるようにします。

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タイムの増やし方 挿し木

挿し木でコモンタイムを増やす

コモンタイムは挿し木で増やすことが出来ます。
挿し木をする前に、水挿しを使って根がある程度伸びるまで挿し穂を栽培した後、挿し木を行うようにすれば挿し木の成功率が高まりますので、挿し穂を水挿しで栽培して発根した物を挿し木で使うようにします。

また、挿し穂で利用する枝はなるべく太い所を選んでカットするようにします。
若い枝の先端の細い所でカットした挿し穂では、カットした部分から発根をする前に、一輪挿しでの栽培途中で枯れてしまうこともありますので、少し太めの枝を挿し穂には利用するようにします。

コモンタイムの挿し木
コモンタイムの挿し木

写真は十分に根が伸びた挿し穂を、3号の素焼きの鉢に挿し木した様子です。
3号の素焼きの鉢は、挿し木にほど良いサイズになりますので、挿し木にお勧めです。

挿し木を行った後は、日当たりが良く風通しの良い場所で育てていきます。
十分に根がはって、株が一回り二回りほど大きく成長したら、今度は6号程度の鉢に植え付けるか、地植えをして株を大きくさせていきます。

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取り木でタイムの株を増やす

タイムの子株は取り木で増やせます

コモンタイムは、挿し木で株を増やすことが出来ますが、取り木で株を増やす方法もあります。
取り木で株を増やす方法は、挿し木よりも簡単に子株を増やすことが出来ますので、タイムの栽培を継続しながら株を更新することが出来ます。

取り木前のタイムの鉢植え
取り木前のタイムの鉢植え

写真は、6号の素焼きの鉢で栽培しているコモンタイムの鉢植えです。
一株分ですが枝が四方八方に伸び放題のタイムの鉢植えです。

このまま枝の剪定を行わなかったり、株の手入れ作業を怠ると、段々と株元から枯れてくることもありますので、取り木をして親株から子株へと、一株から株数を増やしてみようと思います。

取り木の方法は、長く伸びた茎の中間部分のみを地中に埋めて、茎の先端は地表に出します。
土に埋めた部分の茎は、園芸用の枝の誘引などで使うソフトワイヤーをUの字に曲げて、地中に埋めた茎が地表に浮いてこないように土に挿し、茎を固定します。

ソフトワイヤーで茎を固定する
ソフトワイヤーで茎を固定する

ソフトワイヤーを使って茎を固定した後は、少し土を被せて茎を確実に地中に埋めます。
ソフトワイヤーの長さは、Uの字に曲げた状態で4cm程度の長さがあれば大丈夫です。
土にワイヤーを挿す際は、一度で決めるとしっかりと地中に挿さります。
何度か挿し直してしまうと段々と緩くなってしまいますので、確実に茎を固定できるようにしっかりとソフトワイヤーを固定します。

取り木の位置の目印
取り木の位置の目印

ワイヤーには目印となるように短い紐を付けたり、ワイヤーの上に小石を置くなどして、取り木の位置が分かるように目印を付けておくことも有効です。
また、小石は茎の浮き上がりを防止する効果もありますので、
ワイヤーが緩んで茎が浮いて来そうな場合は、小石を使ってさらに茎をしっかりと固定できるように押さえつけることも有効です。

四つに分けて、取り木を行う
四つに分けて、取り木を行う

今回は、写真のように株元から四方向に枝を分けて、四か所分、取り木を行いました。
ひとつの鉢植えで、四か所、同時に取り木を行いますので、取り木が成功すれば子株が増えて、やがては株分けも行えるようになります。

今回は四か所分に枝を分けましたが、大きい鉢であったり地植えの場合は、
さらに細かく枝を分けると、一気に取り木の数が増えますので、一度の取り木で子株がたくさん増やせるようになります。

取り木の作業後、剪定して枝を切る
取り木の作業後、剪定して枝を切る

四か所分、枝をソフトワイヤーを使って固定した後、鉢から飛び出してしまった枝を剪定して整えました。
コモンタイムは定期的に剪定を行わないと、枝が好き勝手に伸び放題になってしまいますので、定期的に剪定をして枝をつめるようにします。

取り木の作業を行った後、ひと月もすれば地中に埋めた茎の部分から新たに発根して根付くようになります。

取り木が成功したら、親株側の茎を切る
取り木が成功したら、親株側の茎を切る

そのまま暫く栽培を続ければ、日が経つにつれてしっかりと取り木部分から発根して、根がしっかりと根付きますので、その段階でソフトワイヤーを取り除いてから、取り木をした茎の親株よりの部分をカットして、取り木の作業は完了となります。

新たに根付いた子株は、移植ゴテで土ごとすくい上げ、適当なサイズの鉢に植え付ければ親株として新たに栽培を始めることが出来ます。
または、鉢から全ての株をまとめて引き抜いて、株分けを行うことも出来ます。

以上のように、取り木は失敗の少ない子株の増やし方になりますので、タイムのように枝や茎が垂れるようにして育つハーブ品種では、ポピュラーな小株の増やし方になります。

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タイムの害虫対策と病気治療

アブラムシの駆除とうどんこ病の治療

タイムの栽培では、アブラムシやハダニの被害に遭うことはほぼ無いかと思われます。
また、うどん粉病などの病気にも強いハーブ品種になります。

タイムの病害虫対策としては、日当たりが良く風通しの良い環境で栽培をすることが望ましいです。

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タイムの葉を使ったブーケガルニ

煮込み料理で使うブーケガルニ

タイムの葉は、料理ではブーケガルニで使うことが多いです。
ブーケガルニとは、タイムやセロリなどのハーブを束にした物になります。
紐で縛った物や、ティーバッグのように袋に入れられた物を料理に使います。

タイムの葉は細かいので、まとめて縛って使うよりも、袋に入れて使うことが一般的ですね。
ブーケガルニの袋はティーバッグが扱いやすいのでおススメです。

ブーケガルニを使って調理したブイヤベース
ブーケガルニを使って調理したブイヤベース

写真はタイムの葉やローリエなどの香草をまとめた、ブーケガルニを使って調理したブイヤベースの写真です。
ブイヤベースでは、たくさんの香草を使って調理をしますので、ブーケガルニを使って調理をすることが一般的です。

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